コンビニ人間

 昨年の夏に、実は立ち読みで読んじゃったこの本。ちょっと図々しかったかな。ものすごいスピードで。コンビニをここまで書きおおしてしまうコンビニ愛? に驚き。なにか小説でも書きたいと思っていた自分、身近なコンビニというものなら自分も知ってるぞ、さてどう書いてるかなと開けて、ああ、自分にはこうは書けない、さすが、さすがと思いましたね。

コンビニ人間

 きょうの朝日新聞の広告に、本屋大賞にノミネート決定とあり、海外からも翻訳のオッファーが殺到とか。芥川賞受賞作という賑々しさに加えて、海外にまで飛び出そうとするこの本を、もはやここに紹介するまでもないなと思いつつ、やっぱり、とつい書いてしまいました。

 あれ以来、コンビニに立っている店員さんを見ると、この人も、もしかして芥川賞作家に? なんて思っちゃうのです。

 こうしてよくよく装丁を見るとなかなかユニークですね。書店では、どうも題字だけを見てすぐに手に取り、読み終えて、すっと、もどしちゃったみたい。題名も見ずに読んじゃった本もありますが。

 自由に何冊でも買える予算があればいいのですが。しかし、店員さんが目を光らせていないか意識しながら読むのも、またぐんと緊張感が増してページが進むんですよね、これがまた。でもね、立ち読みで読み切っちゃうのは流石にちょっと気がひけなくもない。遠慮しなくちゃね。

羊と鋼の森

羊と鋼の森

羊と鋼の森

 

 主人公が、小、中学生の頃に歩いた森。そこを一人で歩いているときだけは、ゆるされている、と感じていた。ピアノ調律師として、主人公がピアノの中に見出したのはその感覚。ゆるされている、世界と調和している。それがどんなに素晴らしいことか。……

 

 人が一心に何かに打ち込んでいるときに、この「ゆるされている、世界と調和している」という満足が与えられる瞬間があるように思う。主人公は、まだ一級のピアニストの調律ができるというところではない。しかし、ひたすらに音の調和を求めるうちに、そんな至福を得ている。あやかりたい。

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  ありがとう! ありがとう! これでも足りない、ありがとう! ありがとう! もっと言いたい、ありがとう!!

 一瞬、雲がおおっても、ちょっと闇が続いても、やけにトンネルが長くても、その先には必ず光が待っている。必ず出口が待っている。それからは、それからは、そうさ、さまざまな実がなっていく。大きい実、小さい実、酸っぱい実、甘い実、赤い実、青い実、黄色い実、紫色の実、橙色の実。白い実、丸い実、細長い実、楕円の実、……。そんな日が来る。きっと来る。だから、だから ありがとう!!

空っぽの茶碗、空っぽの皿

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 なんじゃ、この食器は? 有田焼でもなけりゃ、志野焼きでもないじゃん。そのへんのただの皿、茶碗はもしかして100円ショップ? その通り、茶碗は100円ショップの数少ない絵柄からう~ん、と頭を抱えながらやっとチョイス。

 でもね、きょう言いたいことはそんなことじゃない。

 もしお腹がすいていて、この食器の前に座ったとしよう。いいかい、君は、腹と背中がくっつくぐらいペコペコなんだよ。最初は静かに待っている。だけど待てども待てどもこの器に食べ物が入らなかったなら、遅い、遅い、遅いぞー! 早くしてくれ! 死にそうだ! 箸でガンガン食器を叩いたって不思議はない。

 そう、誰でも知ってる、みんな知ってる、知らない人はいない、大人も知ってる、子供も知ってる、どこかには、いつもお腹を空かした人たちがいるんだ。食べ物を、着るものを待ってる人たちがいる。ほんとうのところ、本当に偉い人たちは、知っていて知らんふりしてるんだ。国民のため、国のためと真実こめていってるけど、その埒外にある人たちは捨てている。

 今朝ね、ちょっと寝坊して7時半ごろに起きたんだけど、さあて何食べようかなと思って、お釜のふたを開けたらご飯がちょぼっと。それを水を入れた鍋にぽとんと落としてニラを微塵に刻んで、まあ、雑炊だね。それに夕べのひき肉と玉ねぎと卵でつくたオムレツの残り、半月を半分にしたのを千切って分けてトマトジュース100㏄。これを用意しながら、涙が出たわけ。難民の人たち、戦禍に晒されているひとたちのすがたが頭をよぎるの。どうしてこんなときにそんな映像を思い出すの? その理由はわからないんだけど。なんだか悪いなって。自分たちは食べられてなんだか悪い。すまないって気持ちになるの。

 1円でもいいから寄付しよう。1000円しなくちゃカッコ悪い? だからやらない? 1円、カッコ悪くなんかない、1円、すばらしいよ。1円を1億人がしてごらんよ、1億円だよ。信じられない結果じゃないの。ユニセフに、赤十字に、窓口はいくらでもあるはず。ネコババされない信頼できる筋に、1円でも、5円でも寄付しよう。空っぽの食器さえ持たない人たちに食べ物が届くように。

 お金持ちじゃなくちゃ人助けできないかな? うちだって金持ちじゃないよ。だけど、きょう、1円でも投じるなら、それは孫正義が何億投じるに勝って値がある。ある人たちは多少身をけずたってどうってことないからね。だけど、あまり裕福でもない君が、失礼、これは失礼、ま、億万長者じゃない君がいくばくかを人のために投じるとしたら、これは測り知れない善意善行なのさ。

 さあ、今日から、1円だ! 5円だ! 毎日じゃなくたって、1000円できるなら尚けっこう! 

 

 

 

かけがえのない君

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 俺なんか、私なんか、そんなふうに自分を思ってやしない? そりゃ、とんでもない事だよ。お母さんはね、けっこうしんどい思いをして君を産んだのさ。育てるったって大変だよ。君が高いところから落っこちないように、どっかへ迷子にならないように、こりゃ死んじゃったら大変と、病院に抱えて走ったり。記憶があるところからは、もう言わなくたっていいね。そうさ、君は大事なだいじな人なんだ。

 わたしの知ってる人はね、二十歳すぎるまで戸籍がなかった。だから親が誰であるかも知らなかった。知りようがなかったんだ。だけど、彼はある日突然気がついた。神さまが俺を愛してるってことを。なぜだかわからないけど、心でわかっちゃったのさ。それってほんとうのことなんだ。

 親が誰であれ、ある意味関係ない。神さまが君を愛してるんだ。だから、たとえ君に親兄弟がいなくても、友達がいなくたって、君はひとりじゃない。神さまからメッチャ愛されてる君は、誰よりもかけがえのない君なのさ。じゃ、俺の方がお前より愛されてるじゃん。僕の方が君よりぐんと愛されてるってわけさ。あなたよりも私の方がオメゴサンにきまってるでしょ。そうなのさ。君は誰よりも愛されてる、かけがえのない君なのさ。

 

ひとりじゃない

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部屋がやけにだだっ広く感じられて、包む空気がひんやりと他人顔なんておもってやしない? ところがところが、そこにこそちゃんと満ち満ちているお方があるんだ。みえなくとも、ちゃんとそこにいる、ここにいる、それが神さま。だいじょうぶ、にこやかに笑いながら、だいじょうぶ、なにくよくよしてんだい? だいじょうぶと笑っている。電気は明るければ明るいほうがいい、だけどちょっと暗い目でも、だいじょうぶ、わたしはここにいる。こちらからは見えなくとも、あちらからは見えていて、にこやかに笑っている。

 熱いお風呂にでも浸かって、細胞を活性化させてね。