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羊と鋼の森

羊と鋼の森

羊と鋼の森

 

 主人公が、小、中学生の頃に歩いた森。そこを一人で歩いているときだけは、ゆるされている、と感じていた。ピアノ調律師として、主人公がピアノの中に見出したのはその感覚。ゆるされている、世界と調和している。それがどんなに素晴らしいことか。……

 

 人が一心に何かに打ち込んでいるときに、この「ゆるされている、世界と調和している」という満足が与えられる瞬間があるように思う。主人公は、まだ一級のピアニストの調律ができるというところではない。しかし、ひたすらに音の調和を求めるうちに、そんな至福を得ている。あやかりたい。