かけがえのない君

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 俺なんか、私なんか、そんなふうに自分を思ってやしない? そりゃ、とんでもない事だよ。お母さんはね、けっこうしんどい思いをして君を産んだのさ。育てるったって大変だよ。君が高いところから落っこちないように、どっかへ迷子にならないように、こりゃ死んじゃったら大変と、病院に抱えて走ったり。記憶があるところからは、もう言わなくたっていいね。そうさ、君は大事なだいじな人なんだ。

 わたしの知ってる人はね、二十歳すぎるまで戸籍がなかった。だから親が誰であるかも知らなかった。知りようがなかったんだ。だけど、彼はある日突然気がついた。神さまが俺を愛してるってことを。なぜだかわからないけど、心でわかっちゃったのさ。それってほんとうのことなんだ。

 親が誰であれ、ある意味関係ない。神さまが君を愛してるんだ。だから、たとえ君に親兄弟がいなくても、友達がいなくたって、君はひとりじゃない。神さまからメッチャ愛されてる君は、誰よりもかけがえのない君なのさ。じゃ、俺の方がお前より愛されてるじゃん。僕の方が君よりぐんと愛されてるってわけさ。あなたよりも私の方がオメゴサンにきまってるでしょ。そうなのさ。君は誰よりも愛されてる、かけがえのない君なのさ。